性加害を告発する女性監督の意欲作『マリアムと犬ども』日本初公開も。「イスラーム映画祭8」4/29より元町映画館で開催


 「元町映画館ものがたり」にてご紹介しているイスラーム映画祭が今年で8回目を迎え、主宰の藤本高之さんが厳選した全14本が、4月29日(土)より1週間に渡り上映されます。

 2023年は、1948年のイスラエル建国とそれに伴う第一次中東戦争によって、70万人以上のパレスチナ難民が生まれた“ナクバ”(アラビア語で“大災厄”の意)から75年の節目の年。イスラーム映画祭では、1972年にベイルートで爆殺された著名なパレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニー(1936-72年)の代表作小説をエジプト人監督が映画化した『太陽の男たち』(1972)を劇場初公開します。


 他にも女性の問題やマイノリティをめぐる普遍的課題に果敢に挑戦しているチュニジアの女性監督の作品を昨年に引き続き紹介します。清掃の仕事をしながら2人の娘を育てているアルジェリア移民の女性とその娘たちの日常を描いたセザール賞受賞作『ファーティマの詩(うた)』(日本初上映)、昨年大きな反響を呼んだ『ソフィアの願い』(アンコール上映)や、ロマン・デュリス主演のトニー・ガトリフ監督による自伝的ロードムーヴィー『エグザイル 愛より強い旅』(17年ぶりの劇場リバイバル!)、女子高生とムスリム移民の交流を描いたキム・コッピ主演の韓国インディペンデント映画の名作『わたしはバンドゥビ』など、多彩な視点からイスラーム文化圏の映画をラインナップしています。



『太陽の男たち』(1972  シリア 劇場初公開)

1972年にベイルートで爆殺されたパレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの代表作の映画化にして、“アラブ映画史における最重要作”の1本と謳われている作品です。カナファーニーはPFLPの活動家でもありました。



『マリアムと犬ども』(2017 チュニジア=フランス他 日本初公開)

2021年に『皮膚を売った男』で日本に初めて紹介されたカウサル・ベン・ハニーヤ監督の長篇第2作です。“アラブの春”と呼ばれた民衆革命後の2012年に実際に起きた、警官による性暴行事件を題材にした社会派ドラマです。



『陽の届かない場所で』(2017 チュニジア=フランス 日本初公開)

ウクライナ発祥のフェミニズム団体フェメンの元メンバー、アミーナ・サブウィとチュニジアの性的少数者コミュニティを描いたドキュメンタリー映画です。クィア的視点で革命や社会的迫害、政治闘争を洞察しています。


また期間中には、恒例のトークセッションも開催します。詳しくは以下をご覧ください。